
法人のお客様
労働問題

企業の労働問題とは
「辞めた社員から未払いの残業代を請求された。」
「やむなく解雇した従業員から労働審判を提起された。」
「従業員がセクハラで訴えられた。」
経営者にとって労働問題は経営に大きな影響を及ぼす非常に重要な問題です。日本の労働法では、労働者を守るということが重視されており、労働問題で争われると、経営者側が厳しい立場に立たされるということがよく起こります。労働者側の訴えに適切な対応をしなかったがために、企業イメージの低下を招き、経営に大きな影響を及ぼすということがあります。特に中小企業の多くは、労働問題に対しての対策が十分であるとは言いがたい状況にあります。
労働問題を防ぐためには、トラブルが起きる前に就業規則や労働契約書の整備をしておくことが重要です。労働環境を整備しておくことで、言われもない訴えを退けることができます。また、万が一、労働トラブルが起きてしまった場合には、適正な対応をしなければなりません。間違っても労働者側からの要求を無視し続けたり、軽率な対応をしたりするべきではありません。なぜならば、「労働問題が起きてから、解決のためにどんな対応をしたか」という企業の対応が最終的な争点となることが多いからです。
このような労働問題については、弁護士に依頼をすることで、就業規則の作成や労働契約書の整備など、企業活動をする上で重要となる労働環境を整えることができます。多くの中小企業では、その重要性を理解しながらも、そこまで手が回せていないという現状があると思います。弁護士に頼むことで、労働環境の整備を経営者の意見を反映させながら、行うことが可能です。
当事務所は、使用者専門の法律事務所として、これまでに数多くの労働問題を解決してまいりまいた。初回相談料は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
残業にまつわる諸問題とは
1 残業の概念
・「(法定)時間外労働」とは、労働基準法で定められた労働時間(原則は1日8時間、1週40時間)を超えて行われた残業のこと
・「法内残業」とは、会社が定めた所定労働時間を超え、労働基準法で定められた労働時間以内の範囲で行われた残業のこと
例えば、午前9時から午後5時までの勤務で、休憩時間が1時間ある場合は、会社が定めた所定労働時間は、1日7時間ということになる。
これは、労働基準法で定められた1日の労働時間(8時間)よりも短い所定労働時間ということになり、この場合、午後8時まで「残業」を行ったとすると、午後5時から午後6時までの1時間は、所定労働時間を超え、法定労働時間の範囲内で行われた「法内残業 」午後6時から午後8時までの2時間は、法定労働時間を超えて行われた「(法定)時間外労働」ということになる。
2 割増賃金の支払義務
上で述べた2種類の残業のうち、労働基準法によって割増賃金の支払義務があるのは、(法定)時間外労働だけで、法内残業については、労働基準法上、特に割増賃金の支払義務は定められていない。
したがって、法内残業を行った場合に、いくらの賃金を支払うこととするのかは、労働契約ないし就業規則(賃金規程)の規定によって決まることとなる。
3 残業代の計算方法
(1) (法定)時間外労働については、
時間外労働の時間数(時間)×1時間あたりの賃金(円)×1.25(※)
※1か月の時間外労働が60時間を超えた場合は、その超える部分については、1.5
(2) 法内残業については、
法内残業の時間数(時間)×就業規則等で定める1時間あたりの単価(円)
4 残業をさせることができる要件
36協定+残業命令
36協定の届出は、「残業をさせても違法ではなくなり、刑罰を受けなくなる」という効力(免罰的効力)があるだけで、実際に残業を命じるためには、「契約上の根拠」が必要。判例によると、就業規則に「36協定の範囲内で時間外労働をさせることができる」旨の定めがあり、その規定が合理的なものである限り、労働者は残業命令に応じる義務がある、としている。
5「残業をすることは社員の権利か?」
労働基準法上の労働時間とは「社員が会社の指揮命令下に置かれる時間」をいう。会社の指揮命令下になく、社員が私的な活動のために会社に残っている時間は労働時間には含まれない。
したがって、基本的には「会社の指揮命令下」にない時間は、残業時間として取り扱う必要がない。残業する権利はない。
6 具体的な残業命令がなければ残業代を支払わなくてもよいか
具体的な残業命令なしでも残業代の支払いが命じられた裁判が多くあり。
→「黙示の残業命令」が存在するということで残業代が認定されている。
具体的には
・残業で業務を処理することを当然なこととして、上司が黙認した場合
・業務上やむを得ない理由で残業をした場合
・残業しなければならない客観的な事情がある場合
などは「黙示の残業命令」があったと認められる。
7 裁判例
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リゾートトラスト事件(大阪地判平成17年3月25日)
・経理担当者の残業と休日出勤について、この社員は日常的な事務を担当し、原告が主張するような残業する量ではなかった。
タイムカードがなかったが、繫忙期か否かとか同じ部署の他の社員の勤務時間から推測で残業時間を一部認定。
・遅くまで残っていることは、社内でも一般的な認識となっており、上司が早く帰るように何度も注意したが、帰らなかった。
この判決は、
・会社は残業、休日出勤の命令をしていない
・業務の量は残業、休日出勤するほどでもない
として、会社が勝訴。
この裁判のポイントは
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残業命令があったか?
→逆に、残業しないように上司が注意している
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残業(休日出勤)するほどの仕事量だったか?
→日常的な仕事のみで、それほどの量ではない
したがって、会社が「残業の内容と量」を把握して、きちんと労働時間を管理
していれば、勝手な残業は認められないし、黙示の残業ともならない。
cf)吉田興業事件 (名古屋地裁 平成2年5月30日)
住み込みで建物管理を行なっている者が戸締りを時間外にしたことは、いつでもできる業務を自発的に勤務時間外に行っただけなので、残業代は不要
ニッコクトラスト事件(東京地裁 平成18年11月17日)
寮の食堂を運営している者が、勤務時間外に要求以上の水準の料理やサービスをしたことは、社員自らの判断で行ったに過ぎないので、残業代は不要
8 黙示の残業とみなされないためには
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業務内容が残業を前提としていない
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残業を事前許可制とする
→事前申請書と報告書を「必ず」提出させる。
9 長時間残業と自殺
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くも膜下出血で死亡の男性、長時間労働による過労死認定
~ある製造会社の下請け会社で、46歳の男性が亡くなった事例です。被害者が死亡する前の2ヶ月間、80時間の時間外労働があったことが明らかになっています。(参考:毎日新聞|パナソニック下請け男性、過労死ライン残業続く) -
長時間労働で適応障害発症、労災認定へ
~大手電機会社勤務の男性31歳が160時間を超える残業の末に適応障害を発症し、神奈川労働局藤沢労働基準監督署によって労災認定されました。被害者は「早く死にたい」「逃げたい」などとばかり考えていたようです。(参考:毎日新聞|三菱電機 31歳男性の労災認定 違法残業で適応障害に) -
大手広告会社女性新入社員、過労の末自殺
~新入社員で当時24歳だった女性が過労の末に自殺しました。労基署が認定した彼女の1ヶ月間の時間外労働は105時間だったといいます。激務の末に疲労やストレスが溜まっていた様子が伺えます。(参考:朝日新聞|電通の女性新入社員自殺、労災と認定 残業月105時間)
残業代を請求されている方へ
「辞めた従業員から突然サービス残業代を請求されてしまった」
「労働基準署から警告書が届いてしまった」
残業代の問題は、いまでは典型的な労働問題の一つです。労働基準法により、残業代は払うべきものですから、残業代を請求された場合には、使用者側は基本的には残業代を払うことになることを理解しておかなければなりません。さらに、従業員に対して残業代を支払わずに残業させていることが発覚すると、労基署から是正勧告を受けることになります。勧告に従わずに放っておくと、書類送検をされ、法的に罰せられてしまうおそれがあります。労働基準署の勧告を無視したがために、企業が多額の賠償金支払いを命じられた事例が数多く存在します。
そのような残業代を請求をされた場合に大切なことは、第一に従業員の請求を無視しないということです。請求を無視してしまうことで、労働基準署に連絡が入り、立ち入り調査に入られたり労働審判を申し立てられたりすることがあるからです。
その次に、従業員の主張や労基署からの勧告に対しては、事実関係を整理し、実際に労働した時間を確認して、対応を取る必要があります。従業員の残業代の中には、不必要な時間外労働が含まれている場合もあり、残業代の要求にすべてに応じる必要はありません。
このように、残業代を請求された場合、弁護士に依頼をすることで、従業員側からの残業代請求に対して、使用者の代理人となり、適切な残業代を算出した上で、従業員側に反論をいたします。
当事務所では、訴えを起こされた後の交渉はもちろんのこと、トラブルを未然に防ぐための就業規則の整備や職場環境の改善に関して、法的な見地から適切なアドバイスを致します。残念ながら多くの中小企業では、残業代請求に耐えうる労働関係の規程が十分に整備されているとは言いがたい状況です。弁護士が入ることで、経営者の代理となって、労働関係規程の整備を行います。
解雇について
「解雇をした従業員から突然訴えられてしまった。」
「全く仕事をしない社員を辞めさせたいが、どのようにして辞めさせればいいかがわからない。」
「労働基準署から突然連絡が入り、警告を受けてしまった。」
解雇とは使用者による労働者の契約解消のことですが、日本の法制度上、労働者を簡単には解雇できないようになっています。仕事があまりにできない社員や勤務態度が極端に悪い社員であっても、容易に解雇をすることはできません。安易に解雇をしてしまうと、従業員から訴えられ、多額の賠償金を請求されたり、会社の内部情報を労働基準署にリークされ、最悪の場合企業活動ができなくなったりしてしまいます。
解雇が認められる要件としての客観的で合理的な理由は、下記のようなものです。
・傷病により労務を提供できないこと
・勤務態度の不良により、会社の指示に従って労務を提供できないこと
・労働契約の目的を達成できないこと
・経歴を詐称して契約を結んでいた場合 etc…
そして、そのような事由については、就業規則の中で解雇事由として定めておく必要があります。
また、解雇理由の正当性を主張するだけではなく、問題のある社員に対しては、配置換えや指導研修などの然るべき対応をする必要があります。それらの策を講じても問題が解決しない場合に初めて、解雇が認められることになります。
このような解雇のやり方については、弁護士に依頼をすることで、解雇事由に客観性が認められるか、手続きに正当性はあるかについてアドバイスをすることができます。また、解雇をした従業員から後々訴えられないために、企業側の証拠を整えておくことができます。万が一訴えられてしまった場合にも、法律の専門的な知識から然るべき対応が可能です。
当事務所では初回相談料を無料としておりますので、お気軽にご相談ください。
会社が業務上横領の被害を受けた際、企業はどう対応するべき?
大企業における横領が発覚した場合、ニュースに取り上げられることがしばしば見受けられる昨今ですが、1年 間に起きている横領の件数をご存じでしょうか。警察庁が発表している刑法犯に関する統計資料によると、令和2年における認知件数は1,388件で、減少傾向にあります。しかし、検挙件数は減少しておらず、令和2年には1,220件発生しており、平成23年から年間約1,200件発生しています。特に横領は諸刑法犯と比べて発覚しないことが多々あるため、検挙率は年々減少しています。
会社が業務上横領の被害を受けた際に、どのような対応をする必要があるのか、未然に防ぐための予防策について本コラムではお伝えします。
業務上横領罪とは
まず、業務上横領罪について解説します。業務上横領とは、「業務上、自分の判断で財物を利用・処分できる状態において、他人の物を任務に背いて処分すること」を指します。会社から管理者として資産の管理を任命されている人が該当するため、サークルなどの会計責任者がお金を預かる行為も当てはまります。よくある例として、仕事上会社から預かっている物品(お金を含む)を自分のものにしてしまうことが挙げられます。他にも以下のような横領事件が発生しています。
1.従業員が顧客から集金したお金を横領する事例
2.経理担当の従業員が会社の口座から自身の口座に振り込む事例
3.社長、取締役が接待費等の領収書を偽造、改ざんし、経費を請求する事例
4.店長や支店長が会社に売上を過少報告し、差額分を横領する事例
5.運送業者が顧客の荷物を自分のものにする事例
業務上横領の時効
業務上横領が刑事事件として立件される可能性があるのは横領から7年(刑事訴訟法250条2項4号)とされています。7年が過ぎると処罰を求めることは一切できませんが、横領された金銭の返還請求は「被害者が被害の事実と犯人を知ったときから3年間」または「横領されたときから20年間」の時期が早い条件が採用され、可能となります。(民法第724条)。上記の期間が過ぎると返還請求も不可となります。
会社で業務上横領が起きたときの対応策
①証拠の収集
従業員による横領を発見した際に、まずやるべきことは証拠を押さえることです。これは迅速に行う必要があり、「誰が」、「どんな方法で」、「どのような物品を(どれくらいの金額)」の横領を行ったのかを明らかにしなければなりません。横領発生から時間が経過するほど、証拠の収集が難化することが多いため、素早い証拠収集が求められます。
しかし、状況に応じて必要な証拠は異なり、取得方法が難しいケースもあります。横領が発覚した段階で 一度弁護士に依頼し、適切な対応方法をとれるよう相談することをお勧めします。
②関係者に対する事情聴取
横領に関する証拠の収集が進んだ後は、当該従業員を含む関係者へ事情聴取を行う必要があります。関係者とは、当該従業員の周辺の上司や部下、同僚であり、事情を知っている可能性が高い人物を指します。なぜ、関係者にも事情聴取をする必要があるのか、それは関係者が共犯の場合、口裏合わせをされてしまう可能性が高いからです。事象聴取の結果、本人が横領の事実を認めた場合、返済を約束する「支払誓約書」を、認めない場合は「弁明書」提出させます。「支払誓約書」は、横領の事実を認めた証拠になり、「弁明書」は裁判で争う際の参考資料になります。
③損害賠償請求、返済請求
横領の事実を認めた場合、横領した金品の返還請求を進めます。身元保証書を取得し、身元保証人へ請求可能かどうか確認し、返還能力を見極めたうえで内容証明郵便による返還請求を実施しましょう。
④懲戒解雇
横領をした従業員は基本的に懲戒解雇をする場合がほとんどです。ただし、事前に十分な証拠が無いまま裁判に臨むと、不当解雇として敗訴する可能性もあります。そのため、横領発覚後の証拠集めは非常に重要と言えます。
⑤刑事告訴
当該従業員が横領を認めない場合、または金銭が返還されない場合に、刑事事件として対応する必要があります。警察に告訴し、業務上横領事件として捜査・処罰を求めることになります。
業務上横領を事前に防ぐための対策
横領を発見しづらい職場環境にしてしまっている会社は一定数存在し、横領の金額によっては経営に大きな影響を与えるため、企業にとっては大きなリスクとなっています。横領は事前に対策を立てておくことが重要で、仮に横領が発生したとしても、証拠集めを容易化することに繋がります。具体的に社内で進めるべき対策は以下の通りです。
1.経理のチェック体制を見直し、2人以上で対応する
2,毎日、帳簿残高と現金の額を一致させる
3.預金の出金履歴を定期的に確認し、不審なものがないかチェックする
4.出金伝票を活用する
おわりに
いかがでしたでしょうか。横領は発覚した直後が非常に重要です。証拠を隠されたり、共犯者との口裏合わせが行われると、追及することが難しくなるからです。迅速かつ適切な対応をする必要がありますので、横領発覚後は速やかに弁護士へご相談ください。
当事務所では、企業法務トラブルのご相談は初回無料で行っております。横領でお困りの方は弁護士までご相談下さい。
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【使用者向け】ハラスメントの対応における重要なポイントとは
最近、「〇〇ハラスメント」という言葉をよく耳にするようになったという方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。実際に、令和3年度における総合労働相談件数は124万2579件(前年度比+3.7%)に上り、その中の申請項目において最も多いのが「いじめ・嫌がらせ」、つまりパワーハラス メントいわゆるパワハラとなっています。そして、2022年4月にはパワハラ防止法が中小企業に対しても義務付けられるようになり、企業がパワーハラスメント対策を怠った場合は損害賠償責任を問われる可能性があります。また、最近では、他人の言動に対してどんなことであってもすぐに「ハラスメントだ!」と訴える、「ハラスメント・ハラスメント」も誕生しています。
このような状況では、企業としてどのような対応をするべきか悩まれるのも当然のことだと思います。本ページでは企業が実践するべきハラスメントの防止方法とハラスメントが起きた際の対応方法のポイントをお伝えいたします。
ハラスメントとは
皆様はご存じかと思いますが、ハラスメントがどのようなものか今一度その定義をお伝えします。
まず、ハラスメントとは他人を「いじめ」たり、「嫌がらせ」をすることを指し、他人に対する言動で、相手を不快な気持ちや脅威に感じさせることです。近年ではハラスメントに関する法整備が行われ、パワハラは「労働施策総合推進法」、マタハラは「育児・介護休業法」、セクハラは「男女雇用機会均等法」に具体的な内容が記されています。次にそれぞれのハラスメントの定義をお伝えします。
パワハラとは
厚労省が発表しているパワーハラスメントの定義は、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるもの
であり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの指すとしています。(参考ページより引用)
なお、客観的に業務上必要かつ相当な範囲で行われる指導はこれに該当しません。
セクハラとは
セクハラは男女雇用機会均等法によって職場で以下のような事項を受けることと定義されています。
・性的な言動によって労働条件において不利益を被る
・性的な言動によって就業環境が害される
女性がセクハラの被害者になるケースが多いですが、男性も被害者になる可能性があり、性別を問わず行為者になる可能性があります。また、同性に対する言動であってもセクハラになり得るケースもありえます。
マタハラとは
女性従業員の妊娠・出産・育児を理由に、嫌がらせを受けたり、就業環境を害される、解雇・雇止めなどの処置を受けることを指します。マタハラが発生する原因は主に「男性社員の理解や協力が不足していること」や「会社の支援制度が整備されていないこと」などが挙げられます。マタハラに該当しないケースとしては、客観的に対象者の体調不良等で業務の調整が必要で、業務量の削減や業務内容の変更等を打診することが挙げられ、これは業務上の必要性に基づく言動となるため、マタハラには該当しません。
ハラスメントが起きた際の対応方法
当事者への事実関係の確認
被害者からのハラスメント被害の訴えや、企業がハラスメント行為の可能性を認識した際に、まず行うべきことは、「事実関係を迅速かつ正確に把握すること」です。被害者の主張のヒアリングだけではなく、加害者の主張もヒアリングし、ハラスメントに該当するかどうかを中立的な立場で判断する必要があります。被害者からハラスメントの訴えがあったとしても、教育・指導の範疇であることも多々あるため、企業は正確な事実調査を行う事が必要です。中立的なヒアリングが難しい場合は弁護士等の専門家に同席を依頼することも可能です。
懲戒処分の実施
事実調査を行った結果、ハラスメントの事実が認められた場合は、加害者に対して懲戒処分を行う必要があります。処分方針は、事前に規定されている処分方針に従う必要がありますが、定められていない場合はハラスメントの内容、程度、前例にならって相当性のある処分を行います。(相当性とは、処分内容が重すぎないことを指し、仮に重すぎる処分の場合処分が無効となることもあります。) もし、事前に処分方針を定めていない場合は弁護士に相談することをお勧めいたします。適切な処分内容を定めるのは専門家でなければ非常に難しいからです。当事務所では初回相談料無料で対応しておりますので、ぜひご検討ください。
被害者に対する措置
ハラスメントが発生し、加害者に対する処分を行っただけでは、当該職場環境では今後もハラスメントが発生する可能性があるといえます。企業はハラスメントの対応だけではなく、ハラスメントが起きないような従業員が働きやすい環境を整備する必要があります。再発防止に向けたハラスメント防止体制づくりや研修の実施を検討しましょう。
ハラスメント防止方法のポイント
ハラスメントを防止する方法はいくつかあり、大まかなポイントをお伝えします。
就業規則の整備、従業員への周知
就業規則にハラスメント規程を記載することは必須項目ではない為、企業によっては記載されていないこともあります。事前に定めておき、従業員へ周知させておくことでハラスメント発生の抑止力が期待できます。また、実際にハラスメントが発生してしまった場合でも、処分内容が明確に決まっていることで、懲戒処分まで円滑に進めることが可能となります。
ハラスメント相談窓口の適切な設置
パワハラ防止法によって2022年4月より中小企業においてもハラスメント相談窓口の設置が義務付けられました。しかし、ただ相談窓口を設置しただけでは不十分といえます。それは、相談窓口担当者が適切な対応ができる体制である必要があるからです。そのために、相談担当者の研修や対応マニュアルの作成、相談しやすい環境の整備をしましょう。整備後には従業員に対して周知することで、更なる抑止力の効果が期待できます。
社内に相談窓口があっても相談しにくいことから、外部の弁護士や社会保険労務士を相談窓口にすることも検討しましょう。
無料相談実施中
いかがでしたでしょうか。ハラスメントに関する法整備が行われている中で、企業のハラスメント対応が追い付いていないケースが良く見受けられます。ハラスメントの対応は迅速かつ的確に行う必要がありますが、従業員から突然被害を訴えられることが多くあります。企業として最善の対応をするためにも、ハラスメント対応に関してお悩みの際は是非当事務所までご相談ください。

