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企業事件と検察審査会

  • tanapirolawfirm
  • 2016年3月11日
  • 読了時間: 4分

更新日:10月10日

こんにちは!田中ひろし法律事務所です。


最近、熊本は日中の気温が上昇し、車の中は暑いほどです。もうすぐ桜の季節ですね。


さて、先週検察審査会について紹介をしました。検察官に起訴の権限がありますが、その例外的制度として、国民から選ばれた方々の合議体である審査会が起訴するかどうかを話し合って決めることができます。


福島原発事故について、東京電力の旧経営陣がその検察審議会の決定によって起訴されることになりました。その記事について、堀江貴文さんが、意見を述べています。


堀江さんのブログより↓



堀江さんはライブドア事件で、懲役刑の有罪判決を言い渡されました。ほかの取締役が保身のために、堀江さんに罪をなすりつけた、とも言われていますが(評価はいろいろあり、あくまでも一意見として)、企業事件や経済事件は事案が複雑かつ専門的であるので、真実発見が難しいとも言われています。


今回は、そのような企業事件と検察審査会について考えてみたいと思います。



<今回の内容>


1 そもそもライブドア事件とは?

2 堀江さんの主張

3 検察審査会の起訴は真実発見に結び付くのか?



1 そもそもライブドア事件とは?


2006年1月に堀江さんは、逮捕されます。


ちょうど田中ひろし法律事務所は、公設事務所の開所式出席を兼ねて石垣島に事務所旅行を行っていた時でした。

ですので、ホテルのテレビで速報をみたことを覚えています。


罪状は、有価証券取締法の偽計及び風説の流布、有価証券報告書虚偽記載ということでした。


すぐに刑務所に入る実刑判決でしたので、当時の同様に思える事件(カネボウや日興コーディアル証券など)に比べて、粉飾金額が少ないので厳しいと評価されることもありましたが、今回はライブドア事件の判決については評価はしません。


ポイントは、報告書に虚偽の記載をした、という疑いについて、堀江さん以外の取締役は代表である堀江さんが主犯で行った、と語っている点です。



2 堀江さんの主張


ブログでは、「刑事事件化して真相がわかると思ってる脳内お花畑多いな。わかるわけないじゃん。みんな刑事罰食らいたくないから特に立場が下の人が上の人の責任にしがちなのが刑事裁判というものだ。保身に走ってみんな嘘をつく。」と述べています。


東電の事件については、旧経営者の責任論については、長く議論されています。


もちろん、民事上の責任は会社としてすこしづつ負っていて、補償問題も十分ではないですが、進んでいます。


今回は刑事事件化する意味があるのか?という問題意識を堀江さんは感じています。


被害者としては、なんとしても旧経営陣を有罪にして刑務所に入ってほしい、ということは理解できます。


しかし、被害者の方も、なぜこのようなことになったのか?真実を知りたい、という方もいらっしゃると思います。堀江さんは、そうであれば刑事事件化すべきではない、という主張です。


「このような大規模災害による事件は刑事免責して強制調査をするのがベストの選択だと思う。ってことわからないのかなあ??まあ当事者になったことない人はわからんか。。刑事事件なんてのはトップを吊るし上げて世間の人とか被害者の溜飲を下げるためのものだよ。再発防止策なんかになりゃあしない。」



3 検察審査会の起訴は真実発見に結び付くのか?


裁判員制度の趣旨もそうですが、検察審査会制度の趣旨のひとつは、「国民の視点を司法に」ということです。


確かに、必要な視点ですが、それが過剰になると国民感情で有罪無罪や刑の重さが決まってしまう、という危険もあります。


堀江さんの意見を踏まえると、このような企業事件は真実発見に専門的な議論が必要です。ライブドア事件では、自社株売却益の計上について会計学上の議論が必要ですし、福島原発では、津波の予見性という地学および災害メカニズムの解明とその対策の議論が必要になります。


そのような事件について、一般の刑事事件と同じような起訴の制度では、堀江さんの懸念の通り、保身のために真実を語らない、という可能性があるかもしれません。マスコミに良く書かれていないとそのイメージのままに起訴されるということにもつながるかもしれませんね。


堀江さんの意見はあくまでもいち意見ですが、検察審査会の制度がうまくいくためにも、また、企業事件について、真実発見が達成しやすくなるための議論は、これからも必要だと思います。


投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所

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